こんにちは！モンテッソーリ教師の大橋宏美です。
今日は スタンフォード大学心理学教授 であるキャロル・S・ドゥエック著書、今西康子訳の MINDSET（マインドセット）という本をご紹介します。
この教授の研究テーマは人間の信念の力を証明するという心理学の伝統的なテーマのひとつで「その信念は人生のありとあらゆる部分に浸透し、自分の性格だと思っているものの多くが実はこの心のあり方（マインドセット）の産物である。あなたがもし可能性を発揮できずにいるとしたら、その原因の多くはマインドセットにあると言ってよい。」と述べられてます。
この本はマインドセット、つまり心のあり方について説明し、それを生活に役立てる方法を示した書籍です。
マインドセットには、しなやかマインドセットと硬直マインドセットがあり、そのどちらであるかによって人生は大きく変わってしまうと言われています。
あなたのマインドセットはどちらでしょうか？
しなやかマインドセット・・根底に人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことが出来るという信念をもっている人
硬直マインドセット・・自分（人間）の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人
つまり硬直マインドセットの考えは、学ばなくても能力はおのずと現れるもので、もともと能力のある人はあるし、ない人はないと思っているのです。そういう考えの人は、とりあえずできたくらいで満足はせず、完璧にしかも即座にこなせなければ優秀ではないと考えるのです。
学生たちに「どんなときに自分を賢い、または優秀だと感じますか？」と質問します。
硬直マインドセットの人の答えは「ひとつも間違えずにできたとき」「何かをすばやく完璧にこなしたとき」「人にできないことが自分には簡単にできるとき」
しなやかマインドセットの人の答えは「すごく難しいことでもがんばって、以前にはできなかったことができるようになったとき」「ずっと考えていた問題の解き方がようやくわかり始めた時」
つまりしなやかマインドセットの人は、即座に完璧にできることより、時間をかけて何かを習得している時、困難に立ち向かいながら前進している時に自分をすごいと思えるのです。
この大きな違いがわかりますか？
つまり硬直マインドセットの人は完璧でなくてはならないために、失敗を恐れて新しいことにチャレンジしようとしないのです。それは一度失敗すると立ち上がれなくなるからであり、彼らは賢さ（優秀さ）を証明できたら成功だと思っているからです。
それに比べてしなやかマインドセットの人は新しいことが学べたら成功だと考えているのです。
対人関係のマインドセット
次に対人関係のマインドセットの中で、恋愛について述べられているところの話です。
硬直マインドセットの人は努力しなくてもうまくいって当然、という考えが根底にあるために、人間関係を培っていくのに必要なことをしなくなります。
愛し合ってるなら言わなくてもわかるだろう、こちらの考えをわかってくれて当然だと思っているから、わざわざコミュニケーションをとる必要がないのです。
けれども挫折を経験せずに、偉業を成しとげることなどできないように、衝突して苦しんだ経験もなしに、息の合った夫婦になれるはずがないのです。
硬直マインドセットの人はパートナーの欠点を見つけると、相手を軽蔑するようになり、夫婦関係全般に不満を抱くようになる。それに対し、しなやかマインドセットの人はパートナーに欠点を見つけても、夫婦関係そのものが嫌になったりしないのです。それは根底に人は変われると信じているからです。
それではマインドセットをしなやかにするにはどうすればいいのでしょうか？
しなやかマインドセットの人の根底にあるのは「人は変われる」という信念です。「変わる」とはどういうことでしょうか？頭に中にあるチェックシートの枠組みを形作っているのがマインドセットであり、それが解釈全体を一定の方向に導いていきます。
硬直マインドセットの人は受け取った情報に対して極端な評価を下しているために、自分や他人の品定めばかりするようになるのです。
しなやかマインドセットの人は自分の身に起こったことがネガティブなものでも、この体験から何を学び取ることができるか。どうすれば自分を向上させることができるか。つまり問題にするのは自分や他人の評価ではないのです。
マインドセットとはどういうものかを知るだけで、自分自身や人生についての考え方が大きく変わっていくのです。
例えば勉強に自信が持てなくなった子どもや、もう若くないから何もできないと悲観してる人には、「脳は、筋肉と同じく、使えば使うほど性能がアップする」つまり新しいことを学ぶと脳はいくつになっても成長すると科学的に証明されていることを教えてあげてください。
そして幼い子どもでも、硬直マインドセットの子は、まず親がしなやかマインドセットのお手本を示してください。例えば毎晩、夕食の席で「今日はどんなことを学んだ？」「何か勉強になるような失敗をした？」「今日はどんな努力をした？」など一人ずつ順番に話します。その時、失敗した話を面白そうに伝えて少しずつ進歩していくように頑張る事を話して聞かせるのです。
そうすることで、親の関心が知的能力や運動能力がいいことだけではないことが解るようになり、完璧にできなくてもいいんだ。それより、どう頑張るかが大事なのだと教えることができます。
一度マインドセットがこちこちになると、変えるのはそう簡単ではないかもしれません。それでも変えたいと思う人は「人間はいくつになっても、変われる」と信じましょう。
心理学の本は難しそうだと思っていたのですが、評価が高く教育にも役立ちそうだと購入して読み始めてみたら、とにかくおもしろくて一気に読んでしまいました。
子育てに悩んでる、夫婦関係に悩んでいる、経営に悩んでいる、人生に悩んでいるなどいろんな方の役に立つと思うので、ぜひ読んでほしい一冊です。
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