こんにちは!モンテッソーリ教師の大橋宏美です。
今日は1歳半~2歳頃になると、言葉が増えてきて「かわいい♡」と思っていたのもつかの間・・・
突然はじまるイヤイヤ期に困っている方に、モンテッソーリ式の考え方をお伝えしたいと思います。
そもそも「イヤイヤ期」や「魔の2歳児」とは第一反抗期と呼ばれる、子どもにとっては大切な成長過程ですが、ママにとっては大変ですよね(-_-;)
何度か行って聞かせるとわかってくれる子もいれば、頑として言うことを聞かず、徹底的に反抗する子もいます。では、どうして「いや」なんでしょう・・・・
大人は子どもの「わがまま」だと考える人がいますが、本当にただの「わがまま」でしょうか?
モンテッソーリ教師の先生の中では、この時期を絶賛敏感期中と呼んでる方もいるように、子どもは自我が芽生え自立への欲求が高まります。
自分の思いを言葉ではまだ上手く伝えられない、やりたいのに上手にできない、やりたいのにママが勝手にサッとやってしまったら・・・・「やだぁー」になりませんか?
「自分でやりたい」のです。
この1歳~3歳は秩序・運動・感覚・言語の敏感期なので、子どもは乾いたスポンジがグングン水を吸うように、子どもの脳は生きていくのに必要な能力を吸収しようとしているのです。
たとえば、秩序の敏感期では「いつもと同じ」が子どもにとっては心が安心(安定)するのですが、
ママがいつもと同じ道でスーパーに行かなかったら・・・
パパがお風呂でいつも頭から洗ってるのに、突然体から洗ったら・・・
食事の時にパパとママがいつもと同じ席に座らなかったら・・・
秩序の敏感期の子どもにとっては、「いつもと同じ」ではないのがすごく気持ちが悪いのです。
だから「やだぁー」になるのです。
さらに自我の芽生えとは、自分やまわりをコントロールしたいので相手の反応を試します。子どもは大人をよく見ていて、ここまでは許してくれるのか力加減をはかっているのです。
こちらが感情的になると楽しんで何回もするので、パパとママがしてはいけないことはハッキリと冷静に伝えます。伝えるルールは必ず一貫してください。パパとママが言ってることが違ったり、今日はダメなのに明日は良いでは子どもは混乱してしまいます。
発達心理学的にもこの時期の子どもは理性より本能が強いので、他人と自分がちがう考えを持っている事を理解できません。なので感情的に怒っても大人の思うようにはできないのです。
それでは、どうすればいいのでしょうか?
まず、なぜ「いや」なのかよく観察してください。
モンテッソーリ教育の考え方は、子どもの気持ちになって考える(一人の人間として)、わからないときは子どもをよく見る。その中で「もしかしたら、こうしたかったのかな」と大人が理解(共感)することにより、ママのイライラも子どものイライラも減ってくる。
大人が子どものたすけ方を知ると、子どもの反応も変わるのです。
モンテッソーリ教育では、子どもに選択させます。
たとえば公園から帰ろうとしない時・・・
「歩いて帰る?・スキップして帰る?」「帰ったら先にご飯食べる?お風呂に入る?」
「滑り台をあと2回すべって帰る?それともブランコもあと一回して帰る?」
「帰ったら一緒におにぎり作る?」
など、重要なのは帰ること前提の選択をさせること・・
帰る時の楽しみがあることもポイントです。
自分で決めた事をする、この繰り返しが自信と責任感が育ちます。
何でも物を投げる・・・
これは運動の敏感期で、自分の体の使い方、コントロールの仕方を学んでいるのですが、何でも投げるのは危ないですよね。
投げては危ない物は視界から無くすようにして、代わりのボールなど投げていいものを渡す。その場合ルールを決めて家の庭でしか投げない。または家のこの場所(投げるコーナー)を作ってあげるなど、工夫して好きなだけ投げさせてあげる。粗大運動をしっかりした子は運動神経が良くなりますよ。
ご飯を食べずに、おやつばかり食べる・・・
ご飯を食べる前にしっかり体を動かしておきます。一緒に買い物に行ったとき、子どもに野菜を選んでもらい、調理では皮をむいてもらうなど、自分で選んで自分で作ったものには興味を示す子が多いです。野菜の絵本などを読むのもオススメです。
それでも食べ物で遊びだしたら食事はかたずけます。手でぐちゃぐちゃにしていたのなら、感覚の敏感期でその感触を楽しみたくて、食事の事を忘れているのかもしれません。粘土などで思いっきりぐちゃぐちゃさせてあげると、満足して食事を始めるかもしれません。
大切なのは食べ物で遊ばせないこと。食べ物を粗末にするのはいけないことだと、一貫した態度で示します。
おやつの量が多すぎて食べないなら、時間と量を決めましょう。それ以上はあげない事を家族で統一してくださいね。子どもは誰が甘えるとおやつをくれるか、ちゃんとわかっていますよ。
他にもモンテッソーリ園での先生からのお話ですが、給食中にぜんぜんご飯を食べないAちゃんがいました。どうして食べないのか先生はずっとAちゃんを観察していると、あることに気が付きます。Aちゃんは他の子が食べている音(食器とスプーンがカチャカチャあたる音、友達の麺をすする音など)いろんな音をじっと聞いているのです。いろんな音が気になる様子です。みんなが食べ終わり、自分一人になるとほっとした顔で給食を食べ始めました。
それから先生は給食の時間に食べ終わらなくても、満足するまで音を聞かせてから食べるのを待ったり、午後の行事がある時はお友達と少し席を離して静かな場所で食べられるように配慮しました。
先生はAちゃんの音の敏感期に気が付くことができたので、Aちゃんは興味のある音を集中して聞く事ができたのです。それから先生は楽器や音感ベル、雑音筒の教具などAちゃんの敏感期にあった環境を整えました。
もちろんお母さんも先生からその話を聞いていたので、Aちゃんが食事を食べなくてもイライラすることなく対応できました。
音の敏感期のことを知らない先生やお母さんだったら、きっとAちゃんのわがままだと考えたり、好き嫌いが多いのかと誤解していたかもしれません。
音の敏感期の時にはピアノなど、興味のある楽器をはじめるにも丁度いいですよ。
子どもの「いや」には大人が感情的にならずに、どうして嫌なのかじっくり観察して下さい。一回でうまくいかなくても、これが自我の芽生えだと理解することにより、イライラすることなくお母さんが工夫することができます。
イヤイヤ期は子どもが大きく成長できるチャンスです。
子どもの敏感期にあった環境や、たすけ方をすることでパパやママも少しは楽になるのではないでしょうか?
自分のお子さんを一番近くで観察できるのはママやパパです。
モンテッソーリ教育はお子さんが自分で考えて自分で行動できるように、小さい頃から選択をします。
大人はそのサポートをします。
「まま、ひとりでするのを手伝ってね!」
これが子どもの心の声です。「まだできない」ではなく「どうすれば、ひとりでできるか」
お母さんも自分で考えて、自分で行動し、選択してください。
0歳~1歳の子育てについて、イヤイヤ期の対応などもっと詳しく知りたい方にお勧めなのが、あべようこさんの漫画でわかるモンテッソーリの子育ての本がありますので、ご興味のある方はぜひ読んで下さいね。
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