こんにちは!モンテッソーリ教師の大橋宏美です。
みなさんはお好きな絵や、お好きな画家はいらっしゃいますか?
私は小さい頃から水彩画が好きで、小学校の時に少しだけ習いに行ってました。それも風景画より人物画の方が好きで、高校生の頃に美術の授業で油絵の模写をすることになった時も、フランスの印象派の画家ルノワールの有名な「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」を選びました。
この少女の顔の表情が大好きで、顔を描くのにほとんどの時間を使い、体を描く時間がなくなり焦って雑な作品を提出し、先生に「この顔と体が、同じ人が書いたとは思えない」と笑われた事を思い出します。
人物画でも特に子供の絵が好きで、淡い色づかいの水彩画が好きなので「いわさきちひろ」さんの作品をはじめてみた時から、大ファンになりました。
黒柳徹子さんのベストセラーになった自伝的小説「窓際のトットちゃん」の挿絵も「いわさきちひろ」さんの作品が使われています。本の出版時、すでにいわさきさんは亡くなっていたのですが、黒柳さんがどうしても「いわさきちひろ」さんの作品を挿絵にしたいとお願いして、息子さんが物語に似合う絵を選んだそうです。
黒柳徹子さんは子どもの頃に戦争を体験することで、改めてこの物語の舞台となるトモエ学園で経験したことの尊さを想い、大人になってからも子どもの頃に感じたことを大切にしています。
そこには、黒柳徹子さんの子どもの幸せと平和への願いが込められています。
黒柳徹子さんが発達障害なのは有名ですが、トットちゃんが先生にある日言われた、「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」の言葉は、黒柳さんが大人になっても支えています。
「いわさきちひろ」さんの作品も子供の幸せと平和をテーマにしていて、子供の表情がやしぐさがとても可愛らしく、絵本の物語がより心に響きます。だからこそ黒柳徹子さんは「いわさきちひろ」さんの作品を挿絵に希望されたのでしょう。
「いわさきちひろ」さんの絵本で私がお勧めなのは「あかちゃんのくるひ」です。弟ができるお姉ちゃんの喜びや不安などの複雑な気持ちを描いていて、下の子ができるお母さんやお父さんに読んでほしい絵本です。
私もこの絵本を読んで、「うちの子もこんな気持ちだったのかな?」と思うと、お姉ちゃんの健気さが愛しくなりました。
「いわさきちひろ」さんの美術館が、東京都練馬区の「ちひろ美術館・東京」と、長野県北安曇郡松川村の「安曇野ちひろ美術館」があるのですが、コロナの影響でいつ行けるかどうか・・・
そこでモンテッソーリの教室をしたときの為にも、「いわさきちひろ」さんの子供の絵の作品を集めた画集を購入しました。
子供の環境として、本棚に絵本と一緒にこの画集を置きたいからです。
モンテッソーリ教育は環境を整えるのが大人の役割として必要です。
その環境について興味深い話がありました。
先日『セブンルール』で AIベンチャー「シナモン」代表取締役社長CEOの平野未来さんが紹介されていました。東京大学大学院でAIについて学び、彼女が目指すのは「AIが単純作業をやることで、働く時間を減らし人間がクリエーティブなことに集中できる世界」です。現在「シナモン」のAI技術を導入している企業は100社以上。業界をリードする会社を作り上げました。
その番組の中で彼女の幼少期の環境について述べられていて、家のいたるところに本棚があったそうです。トイレにもお風呂にも廊下にも、それぞれの部屋にも、リビングにもいろんなジャンルの本が置いてあったそうです。
彼女は絵本の横に置いてある生物学の本を、小さい頃から手に取ってみることができました。番組の中でお父さんに「わざと絵本の横に置いてたんだよね?」と聞かれ、お父さんは「自分が読んでほしい本を置いていた」と仰ってました。
つまり彼女は一度も両親に「本を読め」とは言われたことがないのです。家の中にある好きな本を自分で選んで読んでいたのです。
イタリアのモンテッソーリ園でも室内に子供の描いた絵が貼ってあり、その横にピカソやゴッホのポストカードが貼っています。
先生がピカソやゴッホのような絵を描いてほしいわけではありません。これが有名な画家だと教える為でもありません。子供が毎日みているその壁の絵を「あれ?この友達の絵や自分の絵と、このポストカードの絵は何かがちがうな?」と自ら気が付いて考えるためです。
教えてもらうのではなく、自分で興味をもった子は自分で調べていきます。
これがモンテッソーリ教育の環境を整えるということです。
子供だからまだ早いとか、まだわからないとか大人は思いますが、子供はよく見て考えています。
音楽もクラッシックでもジャズでも、ご両親の好きな音楽を生活の中で流していると、子供は大好きなお父さんやお母さんが好きなものに興味を持ちます。
大事なのは決して押し付けない事。
自分で選んで自分で決めるという事は、自分の言ったことに責任を持つことなのです。
子供が自分で興味を持つものを見つけられるように、環境を整えてあげる事がどれほど大切か・・・
大人も子供にとっては人的環境なのです。
英語が好きなお母さんは絵本の中に、英語の絵本も一緒に並べている方もいます。
私は大好きな水彩画家「いわさきちひろ」さんの作品を、ぜひお子さんたちにも見てほしいなと思っています。
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